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【視覚障害者の日常】見えない私が4年間、カップ麺の「内側の線」と戦って出した答え

目が見えなくなってから、カップ麺を作るたびに必ず3回は言っている言葉がある。

「熱っ!」

原因は、容器の内側にある一本の線だ。

そんなカップ麺の「内側の線」と4年間格闘した末に、私なりの答えにたどり着いた。

今回はその話をしたい。

・現在の私のカップ麺の作り方

当然だが、今は内側の線が見えない。

まず、カップの内側を指で触って線の位置を探る。

見えなくなって初めて知ったのだが、あの線には意外としっかり凹凸があり、指でも位置が分かる。

そして、お湯を注ぐ。

内側に指を入れて、今どこまで来ているか確認する。

「熱っ!」

まだ足りない。

少し足す。

また確認する。

「熱っ!」

お湯の現在地が分からないと、次にどれくらい注げばいいかも分からないのだ。

結果、毎回お湯を触るしかないのである。

・お湯を注ぐのもめちゃくちゃ難しい

難しいのは、お湯を注ぐこともだ。

特にふたを半分だけ開けるタイプは、今でも神経使用率は70%。

過去に3回も容器の中ではなく、ふたの上へお湯を注いでしまったことがある。

当然、台所が軽い惨事になった。

・先輩の視覚障害者に言われたこと

視覚障害者になったばかりの頃、私は先輩の視覚障害者の方々に、生活のことをいろいろ相談していた。

その中で、こんなことを言われたことがある。

「見えない生活の大変さを説明するなら、カップ麺を作ることを想像してもらうと分かりやすい」

その言葉の意味は、今ならよく分かる。

お湯を入れる以外にも

まずはスマホを片手に

画面に映る文字を読み上げてくれるアプリ「Seeing AI」を起動。

そして、棚からいくつかのカップラーメンを取り出す。

商品名を確認していき、食べたい商品を探す。

商品が決まったら、待ち時間を確認する。

調味料が何袋あるか確認する。

先入れか後入れかを一つずつ確認する。

そこまで終わって、ようやく3分である。

そして、最後に、お湯を内側の線まで入れる。

見えていた頃は手軽な作業だった。

今は、こだわりが強い商品ほど、作るまでの情報確認も増える。

それでも食べる。

おいしいからだ。

・便利な「みずいろクリップ」も試した

もちろん、何か方法はないのかといろいろ試した。

その一つが「みずいろクリップ」である。

容器のふちに取り付け、液体がセンサー部分まで来ると音で知らせてくれる便利グッズだ。

先輩の視覚障害者も「これが出た時は、革命的だった」と話していた。

カップ麺の内側の線にセンサー部分の高さを合わせる。

お湯を注ぐ。

線まで来ると音が鳴る。

これは確かに便利だった。

ただ、私の場合は完全解決とはいかなかった。

理由は、いつもお湯を多めに沸かすからだ。

一度、お湯が足りなくなり、途中でもう一度沸かして足したことがある。

私の記憶では、そのときのカップ麺が劇的にまずかった。

それ以来、

「カップ麺のお湯は途中で足してはいけない」

という妙な教訓だけが残った。

さらに、余ったお湯でお茶やコーヒーも作りたい。

だから毎回、ポットの重さが違う。

傾け方も違う。

お湯の勢いも、たぶん違う。

結果、センサーの音が鳴った時に注ぐのをやめるが

……毎回、線よりだいぶ上までお湯が入っているのだ。

これは完全に私の注ぎ方の問題である。

便利グッズを使いながら、自分で難易度を上げている。

・そもそも必要なお湯の量は決まっていた

そこで、考え方を変えてみた。

内側の線を見るのではなく、最初から必要な量のお湯だけ用意すればいいのではないか。

というわけで、よく食べる日清食品の「カップヌードル」を調べることにした。

47歳。大盛は食べません。

通常サイズの湯量を調べて、その量だけ入れる容器を作るか探すことにした。

ChatGPTにまずは聞いてみた。

すると

通常の「カップヌードル」は280ml。

「よし」

と思った次の瞬間、読み上げはこう続いた。

「シーフードヌードル 300ml」

えっ

「カレーヌードル 290ml」

おいっ

「チリトマト 290ml」

自分の耳を疑った。

念のため公式ページを確認してみたが本当だった。

メーカーさんの、美味しさへの飽くなき探求と努力をまさかのタイミングで知ることになった。

と同時に専用の容器を諦めることにした。

そもそも私は、そばもうどんも焼きそばも食べたい。

最初から一つの量でどうにかしようとしたのが無謀だった。

・それでも、手軽においしく食べたい

ここで一度、原点に戻った。

メーカーは、商品ごとに「この量のお湯で作ればおいしい」という目安を用意してくれている。

だったら私が欲しいのは、その量を簡単に入れる方法だ。

倒すべきは、やはり内側のあの線である。

・4年間、「内側の線」と戦って出した答え

いろいろ考えたり、調べたりした。

その末に出した答えを伝えたい。

「みなさま、イラストのような湯沸かしポットを探しております」

例えば、

「280ml」と入力する。

ボタンを押す。

すると、280mlだけ出る。

これだけでもかなり助かる。

さらに欲を言えば

注ぎ口から細いノズルが伸び、その先をカップのふちにクリップで固定できる。

これなら、ちゃんと容器の中に入っているかも、線を越えたかも気にしなくていい。

4年間いろいろ試した末、私が出した答えは、

「全部、ポットにやってもらう」

だった。

ただ、一つ問題がある。

そのポットを、私はまだ見つけられていない。

視覚障害者向けでなくてもいい。

高齢者向けでも、手元が不安定な人向けでも、朝寝ぼけている人向けでも何でもいい。

もし、そんな商品をご存じの方がいたら教えていただきたい。

参考リンク:Seeing AI、日清食品「カップヌードル」、「カップヌードル カレー」、「カップヌードル シーフードヌードル」、「カップヌードル チリトマトヌードル」、みずいろクリップ
執筆:緑(RYOKU)
「緑くん」キャラデザイン:原郷瑞希
Photo:RocketNews24.
イラスト: ChatGPT

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