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【詐欺師のレシピ】チャーハンから漏れている、詐欺師たちの個人情報

「羽鳥さんは、なぜ詐欺師にチャーハンのレシピを聞くのですか?」


とあるインタビュアーから、そう聞かれた。私は答えた。


「詐欺師たちは、知らず知らずのうちに、自分の情報を私に与えているんです」


ただチャーハンが食べたいだけではない。いや、食べたいのは間違いないのだが、実はもうひとつ目的がある。今回は、そのあたりを少し詳しく説明したい。

・私が得意なのは「人」との戦い

賢明なる読者の皆様はお気づきかと思うが、迷惑メール評論家としての私が最も得意とするのは、ロマンス詐欺師などを相手にした「対人戦」である。


フィッシング詐欺の仕組みを追うことよりも、画面の向こうにいる人間との戦い。要するに、心理戦。これはもう、昔から得意だ。私の代表作であるLINE乗っ取りとの戦いも、しかり。


そんな私が、ロマンス詐欺をはじめとする犯罪の手口を皆様に知ってもらうために書いているのが、連載『詐欺師のレシピ』である。


「詐欺に気をつけましょう」と注意喚起するだけでは、なかなか読んでもらえない。面白くしなければ、伝わるものも伝わらない。


だから、詐欺師にチャーハンのレシピを聞く。そして実際に作って食べる。そのやりとりを通して、彼らがどのように近づいてくるのか、何を狙っているのかも知ってもらう。


**「知ること」は、「防ぐこと」にもつながる。**それこそが、あの連載の真の狙いなのだ。では、なぜチャーハンなのか?


・チャーハンは共通の話題になる

まず、私が日本語でやりとりしてきたロマンス詐欺師には、アジア圏の出身ではないかと思われる相手が多い。逆に欧米の詐欺師たちは、日本語を使ったロマンス詐欺を仕掛けてくる可能性が低い。


詐欺師の身になって考えると、やはり場所が近いほうが詐欺りやすい。カタコトの日本語や会話の内容からの推測ではあるが、そんな彼らとの会話に、チャーハンは実によくなじむ。


**アジア各地には、それぞれのチャーハンがある。**日本には日本のチャーハン。中国には中国のチャーハン。韓国には韓国の、タイにはタイのチャーハンがある。


よって、**共通の話題にしやすい。でも、中身は少しずつ違う。**ここがポイントだ。


もちろん、麺料理なども広く親しまれている。だが、いきなり「麺料理の作り方を教えて」と言われても、話が広すぎる。麺の種類から違うし、汁があるのか、炒めるのかでも全然違う。


その点、「チャーハンの作り方を教えて」は気軽に聞けるし、シンプルかつ、種類も適度な感じで豊富である。聞かれた方も、わりと気軽に教えてくれる。


しかも、これまでの経験上、いろいろなやりとりをしている最中、なんなら相手が詐欺の最中であろうとも、突然ごはんの話をすると、相手が妙に素直になることがある。


人間としての本能に戻ってしまうのだろうか。人は、ごはんの前では正直になるのだ。


以前、怪しいLINE相手14人に、ウマそうな肉野菜炒めの写真を送ってみたことがある。すると、多くの相手から「あら、おいしそう」といった、素直な反応が返ってきた。


もちろん、その反応だけで本音かどうかはわからない。**それでも私には、一瞬、相手が「素」に戻ったように感じられた。**怪しいことをしている者でも、人は人。ウマそうな飯には、つい反応してしまうのかもしれない。



・レシピには、その人が出る

そして話はチャーハンに戻る。


実はチャーハンからは漏れているのだ。個人情報のようなものが。


私はチャーハンが大好きだ。世界各地で食べてきた。東南アジア各地はもちろん、中国でも、韓国でも、台湾でも、いろいろなチャーハンを食べ歩いてきた。


そんなチャーハン狂の私が、相手にチャーハンのレシピを聞く。すると、その人にとってなじみ深いと思われるチャーハンが出てくることがある。


例えば、釜山出身と話していたJ.pYが教えてくれたのは、白ワインを使う海鮮チャーハンだった。エビ、イカ、ホタテ。魚介をよく知っているなぁと感心したし、私が釜山で感じた「海鮮の街」という印象とも重なった。


また、詳しい場所を聞いていない相手でも、使う具材や調味料、作り方の特徴を見て、「この人は、中国のあのあたりの料理になじみがあるのかな」と見当をつけることがある。


もちろん、レシピだけで出身地が確定するわけではない。どこかで覚えた料理かもしれないし、誰かのレシピを持ってきただけかもしれない。


それでも、会話の内容と合わせて見ていくと、**相手がどんな食文化になじみを持っているのか、その輪郭がうっすらと見えてくることがある。**私には、それも立派な「情報」なのである。


・詐欺師は気づいていない

彼らの目的は、お金。あるいは、こちらの個人情報。いっぽう、私の狙いは、チャーハンのレシピである。


だが、実はもうひとつある。何気ない料理の話から、彼らが無意識に出しているかもしれない情報を拾うこと。


私は、ただチャーハンの作り方を聞いているように見せかけて、相手がどんなものを食べてきたのか、どんな場所になじみがあるのか、そんなことまで探っているのだ。


気軽に聞けて、気軽に教えてしまいがちなチャーハン。しかしそのチャーハンのレシピには、本人が思っている以上に、その人の歴史や体験や好みや知識が入っている。


彼らは知らず知らずのうちに、私に漏らしているのだ。チャーハンを介した個人情報とやらを。


執筆:迷惑メール評論家&チャーハン研究家・GO羽鳥
Photo:RocketNews24.



こちらもどうぞ → 『GO羽鳥の迷惑メールシリーズ』

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